弥生の本屋

小石川弥生のブログ小説です。

ブログ小説「記憶」繰り返す14話

カナエは ゆっくりと僕に歩みより

「でもね....当たり前だと ずっと思ってたのに...生きたいと思う 感情が 溢れるの...圭吾さんが 何度も...何度も......」

カナエは 言葉に詰まりながらも

 僕に 伝えたい何かを 一生懸命話そうとしてくれた。

「ごめんなさい......本当に...私のせいで......圭吾さんは......」

 カナエの 言葉の意味が まだ僕には 理解できないけど もしかしたら 僕の記憶がない事が 自分のせいだと 思っているのか......

「カナエ 僕は 大丈夫だから」

 そう伝えると...

 カナエは また話し始めた......

「あの日から ずっと時が 繰り返し  今日が死ぬ日だと 何度も 何度も 昨日のように感じて......この先に あの日のように......

圭吾さんが......死んでしまう事が分かっていても 何もできなく...

気がつけば また......繰り返して

 私が死ぬ運命なのに 圭吾さんが死んでしまう......今 ここにいる圭吾さんが 本当に圭吾さんなのか......分からなくなったり......

でも......やっぱり 圭吾さんだと...この先の 未来がないのに 圭吾さんは 何度も 何年もかけて

繰り返し 私の前に 現れて 何度も 何年も 助けてくれて......

 私が いなければ......圭吾さんは

死なないはず......どうして...こんな事が 起きているのか......分からない......どうしたら、この繰り返される 時を普通に 戻せるのか

 この事を 何度も 圭吾さんに 言おうと 思ったけど 言えなくて

ごめんなさい......いつから 始まったのか いつからの自分の記憶なのか 私もはっきりとは 分からなくて......ただ...頭の中に この状況を 何度も 繰り返していると言う事だけが 何故か 記憶されてるの......」

 何だろう......この感じは......

カナエの話を聞いて 僕が感じているのは...僕は 死んだんじゃなくて......何か 忘れているような...気がしてて......悲しいとか 怖いとか 辛いとか そんな感情にはならなかった......

 繰り返す事には きっと意味があって 僕が......この世界に戻った...カナエが言う 何度も ここに戻るには 意味があるはずで これは...

絶望ではなくて きっと この先に繋がるはずの 一歩じゃないか...そう感じていた......だから...

「カナエ......話してくれて 

ありがとう......僕も 分からないけど カナエが言う この先 僕が死ぬは 多分 僕は 死んだんじゃなくて 違う世界に ワープしたんじゃないかと思う...僕は

この世界に 戻る前は 20歳まで違う世界で 生きてて 子供の頃からここにくるまでの 記憶は しっかりと 僕に刻まれて 残っているだ。

 だから...ここに 僕が戻った事には 必ず意味があって  変えられない未来はないはず...

 だから、少しだけ待ってて きっと この状況を 変える何かがあるはずだから......だから それまで一緒にいてほしい......いいかな」

 

 カナエは ゆっくりとうなずいた...