弥生の本屋

小石川弥生のブログ小説です。

ブログ小説「記憶」絶体絶命15話

 これから どうするか......集落に戻ると また この状況が繰り返される 気がしてならない......なら...どうする......そんな事を考えていると

 

 遠くの方から ガヤガヤと こちらに向かってくる 何か分からないが だんだんと 音が......声が近づいてくるのが 分かる......

「カナエ!」

 僕は 急いで カナエの手を引き茂みに隠れた......

だんだんと近づく 音は人の歩く音 カチャカチャと何かが当たる音 声は だんだんハッキリと分かるように......そして その声は

「泰三!カナエは本当に逃げたのか?!もしそうなら この村はどうなるとおもうちょる

泰三、お前に任せんかったら こんな事態にならんかったが......はよー!皆の衆 カナエを探さにゃならんで!」

「おー!!」

 泰三は キョロキョロと 周りを見ながら 集落の人たちを 先導していた......

 僕とカナエは 茂みに 身を潜め

集落の人たちが 通り過ぎるのを待つ

 微かに震える カナエ手から 今の心境が読み取れた......

その時だった!

 誰が 叫んぶ!

「おったぞー!」

 泰三たちに 気を取られ 後ろに回られた事に 気がつかなかった

一斉に 振り返る集落の人たち 

 僕はカナエ手を強く握り

「カナエ!一緒に走るんだ!」

 カナエの手は 絶対に離すものか

茂みを抜け 走って くぐり抜け 走って 走って 振り切って 駆け抜けた......

血液が物凄い早さで 僕の心臓を駆け巡る それと共に 太鼓を叩くかのように 心臓は 大きく振動し

 痛みとして 僕を襲う......

 

 バキューン!!!

 

ぼんやりと あれ......雷が落ちたのか......急に 足が......動かない...あれ......カナエ......カナエの悲鳴が......なんで......カナエが泣いて

膝が......抜けた......僕の腹から血が......あれ......

 僕......撃たれたのか......血のついた手を見ながら 撃たれたと知った......カナエの どうしようもなく泣き叫ぶ顔が......薄れゆく 意識と......共に......僕の脳裏に深く焼きついた......