弥生の本屋

小石川弥生のブログ小説です。

ブログ小説「記憶」罪深き者たち16話

 

カナエの顔が......霞む......

「圭吾さん!圭吾さん」

 何度も...何度も 聞こえる 僕を呼ぶ カナエの声が......

 遠ざかるはずの カナエの声が...何故か ちゃんと聞こえてくる???

 失いかけていたはずの意識は 次第にハッキリと 何故か......痛みもなく

血も止まっていた......いったい何が......どうなっているのか......

 急に我に返った僕は 集落の人たちは......左右前後 見渡し...

 その光景に 戸惑いと 起きている状況に 頭をフル回転させた。

 

 僕の周りを 囲むように ひれ伏す集落の人たち 僕の横には 泣きながら 僕の名前を呼ぶカナエ.....

 

 僕が立ち上がろうとすると 集落の人たちは 何かに怯えているのか 僕に 

「申し訳ありません」

と、何度も謝り

 僕が 声を出そうとすると...

ひれ伏せながら 両手で拝み

「許してください」

と、命乞いをする姿が....滑稽で哀れだった......人間は 愚かで罪深い存在......

 

そして....僕は....記憶が戻った......