弥生の本屋

小石川弥生のブログ小説です。

ブログ小説「記憶」感情13話

 カナエの寝顔を 見ながら これから どうするべきか......考えていた......集落に カナエを 送る事は もう......あり得ない

 だからと言って......カナエは どうしたいのか......集落に戻ると 言われても......

 そんな事を 考えてるうちに 眠りについてしまった......

 

 翌朝の 目覚めは 鳥のなく声から 始まり 気分は 半分リセットされた......ふと、カナエを見ると姿がなく 慌てて飛び起きたが 

カナエは 川で顔を 洗ってた......

 

 胸をなでおろし カナエに声をかける

「カナエ...」

 カナエの顔は 冷やした おかげか 腫れは引いて......僕を見ると

 「もう 大丈夫だから」

そう言って 笑顔を見せてくれた。

少し 安心はするけど あの状況はカナエにとって かなりショックじゃないかと......だから...

「カナエ......このまま 僕と...」

言いかけた時 カナエは

「何かを 決める前に 圭吾さんに話さないと いけない事があるの

私の話を 聞いて 圭吾さんが どうするか 決めてほしい......」

 

 カナエの表情から 緊張のオーラが 流れ......僕は 少し戸惑ったがカナエの話を 聞く事に......

 

 川のほとりで カナエは 話し始めた。

 

「今から 話す事は 真実で 圭吾さんは 忘れてしまっているけど......私は......生贄になる為に

この世に 生まれてきたの......

泰三さんも 集落の人たちも そう思っている......昔から 決められている事......私も......それが宿命だと思ってた......だから 感情と言う概念はなく ただ、生贄になる日まで、生かされている......

 

僕の涙は ゆっくりと 頬を流れおちた......

 

込み上げる 何かが 喉に痛みとして 残され 

 

 涙は 留まることを 忘れ......僕を負の感情へと 突き落とした。