弥生の本屋

小石川弥生のブログ小説です。

ブログ小説「記憶」推測 12話

 意識を失った カナエの髪を 撫でた事で 僕の頭の中で 記憶の映像が流れ......そして ある疑問が......

 それは......僕が見た 映像は僕を見ている映像で......初めは 僕の記憶だと思ったが よくよく考えると もし、僕が知ってる 幽体離脱なら 見られる側の僕は 意識がないはず......

 動いている 僕を見ることはできない......それなのに 僕は 連れていかれる カナエを必死に 追いかけている......

 僕は 僕で 僕ではない......頭が痛い......

 それに......あの時 怒りで我を 忘れていたかも しれないけど......

 カナエを 助ける事が 何故できたのか......

 難しい事を 考えるだけで 体が暑く 

 僕は 川の中へ 頭から突っ込んだ。

 

冷えた川の水は 気持ちよく 僕の思考を冷静にさせる

 深く考え過ぎだと 言い聞かせ... 

 

カナエを見ると

気がついたのか 起き上がろうとしていた......

 慌てて カナエの元へ

 

「カナエ......まだ、痛いだろう...起き上がらなくてもいいから...

もう少し、休んでな...」

 カナエは 申し訳なさそうに

「圭吾さん......ごめんなさい....」

 「分かったから 横になって......口の中も 切れてるから まだ...無理して 話さなくていいから....」

 

 僕の言葉に 促され カナエは 何かを 伝えようとしたのを止め 

 眠りについた......

 この時は まだ......何も分かってはいなかった......もっと深い先にある事実を......