弥生の本屋

小石川弥生のブログ小説です。

ブログ小説「記憶」ループ11話

泰三は 壊れたように 覇気も無くなり ブツブツと 悪くないと 呪文のように 繰り返す...... 泰三を 置き去りにし......

僕は カナエを抱え この場所を 離れた......

 早く手当てをしなければ......どこか......休める 場所を......

 日が落ち始め 辺りもだんだんと見えづらく どこかないか 必死に探した......

 すると 丁度小さな川が流れ 

カナエを 横にできる 場所を見つけた......そっと カナエを寝かせ

 手首に巻いた 布を取り 川へ......

川で濡らした 布を絞り カナエの顔についた血を 拭き取る......

 

何回か繰り返し 晴れた目を 冷すために 血のついた布を 川で洗い カナエの 目の上にかけて 腫れが 引く事を願った......

 

 どうして......こんな事が......

カナエが こんな目に 合うなんて......カナエの髪を そっと撫でる......その瞬間 僕の頭の中に 目まぐるしく 映像が......流れ始めた......

 

 頭の中に 映る光景は......

 カナエが 誰かに 連れていかれる場面で それを......僕が必死に追いかけて......追いかけて 

「カナエを離せ!」

 弓を引く僕の姿が......頭の中の映像は ここで 終わった......

 

これは......僕の記憶......なのか...

 

 この時 僕は...この現象は 繰り返されているんだと 気づいた......