弥生の本屋

小石川弥生のブログ小説です。

ブログ小説「記憶」正体と回想 17話

 そう......僕は......何度も何年も何百年、何千年......と同じ事を繰り返し この世界に戻ってきた......死神として......

回想

死の匂いがする この村を数千年前に 降り立つ......

この日、死神として初めて 生死ある者の選別を任され  躊躇なく事を運ぶ予定だったが......

 ある儀式が始まり......一人の少女が 矢倉で舞を披露しているのを 暫し眺めていた......

 笛の音が 舞と共鳴しあい 目が離せず 気がつけば 時が過ぎて

 ここに降り立った 理由を忘れてしまっていた......

 僕は 自然と 少女の元へ引き寄せられ......少女の顔を......拝見

 矢倉から降りる少女の顔には 死相が......

 近々 この少女は 僕が連れてゆくのだと 分かった...... 

 少女の事は 気になるが もう一人 気になる者が......

 それ以外の者は 死を誘う者たちばかりだ......

 生命が朽ちる時まで 暫く観察することにした。

 僕が気になる者と言った者は

皆に 圭吾と呼ばれ 少女にまとわりつく 生に導く者

 そして......この者は 少女に生きてほしいと願う者だった......

 しかし、それは無理だろう

 少女には 生きる意志が まるでない......それに 少女の周りは

死を誘う者たちで 逃れられない

 

 二人の行方は......この時の僕は

死神として ただ......生命の朽ちる時を待ち 人間観察をしていたつもりだった......