弥生の本屋

小石川弥生のブログ小説です。

ブログ小説「記憶」川魚7話

僕が誰かから 聞いたと思ってたいた......あの記憶は......僕がカナエに話した記憶なら......

僕は 初めから この世界にいて

僕が戻りたい あの世界は......なんだ......僕は......ここが  いるべき場所なのか......

 

 初めに言っていた カナエの話しはウソで......だから 謝ったって事なのか......

 考えるだけで 頭の中が グルグル回る......

 カナエがウソをつく理由はなんだ......ウソまでついて......

 

 あの夜 青龍山から 戻った後

カナエからは 何も聞く事ができず

 僕は 一人タイミングを逃したまま 頭の中に雲がかかった状態だった......

 

そんな ある日 村一番の力持ち

泰三から 夏の終わりに 集落で代々伝わる 炎天神儀が行われるから

準備を手伝ってくれとの 声がかった......

 

 その準備に必要な 川魚、肉を取りに狩りへ行く事に......

 

 泰三とは なんだか 気が合う

僕よりも 背は高く 力もある なのに 僕の事を 圭兄と呼ぶ ようになった......

 狩り以来 何故か 僕を尊敬しているようで 僕に勝てる気がしない らしい.....嬉しいけど 僕こそ勝てる気がしない......

 

炎天神儀は3日後にあるらしく 今日は 川で魚を取って 明日は 狩りへ行く 計画になった......

 川へ着くと 泰三は

「圭兄 俺が魚取るんで 見ててくれ」

 そう言うと 雑に 衣を脱ぎ捨て

ふんどし一枚で 豪快に 川へ飛び込んだ!

 大きな水しぶきが上がる......

川の深さは 1mくらいか 泰三は

川の中に潜り 魚と格闘し始めた。

 格闘すること 1時間くらいか なんとか

1匹 掴んで 川から顔を出す 泰三の顔は必死感 満載で 何故か 

可愛かった......

 川から出る 泰三の姿は 少し疲れたようで

「圭兄 すまない....後は 頼む。」

 取った魚を 樽に入れると その場に大の字に 倒れ込んでしまった......

 相当 川の中で格闘したんだな...

「次は 僕が 取ってくるよ!」

 矢の本矧部分に麻紐をしっかり結び もう一つの 麻紐の先端を弓の握りの部分に結んだ

 衣を脱ぎ ふんどし一枚で 川の中へ 水面ギリギリの所に矢先を......泳ぐ魚の止まった瞬間に合わせ 矢を放つ......矢先から魚の距離 水圧で 思うように 仕留める事が難しい......

 一点に集中 角度を調整し 矢先を水面におき 矢を放つと

 矢先は 魚の背を貫き 止まった...

 

 僕は コツを掴みながら 夢中に...

気がつけば 樽の中に 10匹くらい魚が......

 泰三も 起き上がり 負けずと川の中に......二人で 夢中になりながら 時間を忘れ 魚をとった......

 

「圭兄は やっぱスゴいなー!」

 泰三の声で 時間の流れが止まった......夕日が 川の水面を オレンジ色に染め 泰三の笑顔が眩しく

 僕の心を満たしてくれた......

 楽しかった......