弥生の本屋

小石川弥生のブログ小説です。

ブログ小説「記憶」ごめんね6話

山肌からの光景が 僕の眠っていた感情を揺れ動かす......

 僕の目の前に立つ カナエの後ろ姿が 何故か......僕の微かな...

 記憶を......

 

振り返る カナエの目には 涙が

零れ 言葉にしたい 気持ちだけが先走るのか......

「けっ......けい...圭吾さん..

.ごめ...ごめんね......」

 何故、カナエが泣いているのか

 なんで 謝るのか......僕は 分からない......だけど......言葉が自然と

「カナエは悪かないよ...思い出せなくて......ごめん...悪いのは僕だから...泣かなくていんだよ...」

 

 カナエは、泣きながら走り出し

僕の胸に飛び込んで......ぎゅっと僕を抱きしめ

「違うの...圭吾さんは何も悪くない......ずっと、ずっと......まって......」

 

 僕は......壊れそうな カナエを

 そっと......丁寧に......慎重に......抱き寄せ......泣き止むまで......

 ずっと...そのまま......

 

 時間流れ......気がつけば カナエは泣き止んで 顔を上げ 僕の顔を見ていた......

「あっ!カナエ!流れ星!」

 カナエは 僕の腕から 抜け出し 

 山肌から見える 空を見上げた...

「わぁーキレイだね...」

 

「カナエ......今見えてる 星は 

もう存在してない 星かもしれないね......今見てる 星は......過去かも......しれない......」

 

 あれ?!僕は......僕は......

あの言葉は......僕が話した記憶だったのか......

 

 カナエは 振り返り 

「戻ったの......記憶が...」

と、問いかけた......

 

 そう言えば......カナエは...あの頃と同じで弓が得意って......あの頃は......って......

 

 僕は いったい......誰なんだ......